恋愛エピソード

10年経っても苦い思い出。ひたすら振り回された、外国人音楽家との恋愛

あれからもう10年になります。
ある秋の仕事帰り、電車の中で楽譜に熱中してた私は、変に視線を感じました。
顔を上げると、太った外国人のオッサンがニコニコしながらこっちを見てます。
なんだコイツ。その時はそう思っただけでしたが、降り際、そのオッサンは名刺を渡してきました。
名刺をみると、なんと音大の非常勤講師。趣味で当時バイオリンを習っていた私は、
「あー売れない音楽家がレッスンの生徒集めに、なりふり構わず宣伝したがってるんだなー」
と思ったのですが、調べてみるとなんとオーケストラのコンマスも勤めたことのある実力派。
「音楽がデキる人」にとても憧れていた私は、これは教えてもらえるならラッキー、とうっかり連絡をとってしまったのです。

 

会ってみるとなんとそのオッサン、レッスンの話もバイオリンの話も一切せず、いきなり口説き文句連発。
「You are so sweet」だのなんだのと…
そしてそのあとも毎日連絡をくれ、ある時パタッと連絡が途絶えて「どうしたんだろう?」と心配させる、「こんなに心配しちゃうってことは、ひょっとして彼のこと好きなの?」とついうっかり思ってしまう、というテクニックまで使ってきたのです。

 

今考えれば有りがちなテですが(笑)、恋愛経験が少なく、恋愛については小学生並みの認識しかなかった私はあっさりとひっかかり、出会ってから1ヶ月程で彼と付き合うことになってしまったのです。

 

しかしながら、それは大変なことでした。とにかく、毎日でも会いたがる彼と、仕事で疲れた日には誰にも会いたくなくなる私は、それだけでもう合わなかったのです。
「疲れてるから会いたくない」と断っても、駅でずっと私を待ち続ける彼。

 

最初はそれでも「私に会いたくて待っててくれたんだ」と思えば嬉しくないこともなかったんですが、次第に本気で疲れてきました。

 

見付からないようにこっそり帰ろうとしても、いつも見付かってしまうんです。そして週末も。

 

彼の家は電車を乗り継いで二時間ほどかかる場所にあり、毎週行くのはちょっとキツかったのに、彼は「自分は平日に君の方に行ってるから」と主張し、毎週彼の家に行くことを強いられました。
毎週、往復四時間もかけて彼の家に行って、いいように家政婦として使われて…。

 

すっかり疲れきり、段々彼との喧嘩も増えてきました。「もー別れたい!」「別れない!」その繰り返し。

 

ある時、「別れないけど自分のコンサートにはもう来るな」と言われました。
すぐにピンときました。こいつは私をキープしつつ、コンサートに来る女子の中から次を物色しようとしているのだ、と。

 

その日から、私は彼との連絡を一切断ちました。前に無理に別れようとしたとき、朝の通勤時に待ち伏せされたことがあったので、通勤経路も変えました。

 

それでもしばらくは、会ってしまったらどうしようと恐怖感でいっぱいでした。ひたすら振り回されて疲れ果てた恋愛。
時間が経てば良い思い出だけ残るかな、と期待していますが、10年経ってなお、そのことを思い出すと苦いものがこみあげてくるようです。